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津地方裁判所 昭和58年(わ)95号 判決 1984年4月04日

主文

被告人を懲役一〇月に処する。

この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

訴訟費用は全部被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、昭和五八年四月二四日施行の津市議会議員選挙に際し、選挙区津市から立候補することを決意していた者であるが、自己の当選を得る目的で、その立候補の届出前である同年三月二七日、津市新町一丁目五番二二号料理旅館中村荘において、同選挙区の選挙人である別表記載の竹内弘ほか二五名に対し、自己のため投票ならびに投票取りまとめ等の選挙運動をすることの報酬として、一人当り金六、二〇八円相当の酒食の饗応接待をし、一面立候補届出前の選挙運動をしたものである。

(証拠の標目)(省略)

(法令の適用)

被告人の判示所為中、饗応接待の点は包括して公職選挙法二二一条一項一号に、事前運動の点は包括して昭和五七年法律第八一号附則第一条第三項による改正前の公職選挙法二三九条一号、公職選挙法一二九条に該当するが、右は一個の行為で二個の罪名に触れる場合であるから、刑法五四条一項前段、一〇条により、重い饗応接待の罪の刑で処断することとし、所定刑中懲役刑を選択し、その刑期の範囲内で被告人を懲役一〇月に処し、同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予し、訴訟費用は刑訴法一八一条一項本文によりこれを全部被告人に負担させることとして、主文のとおり判決する。

(別表)

<省略>

<省略>

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